オペラ歌手になるために必要な資質とは?

こんにちは。

前回はオペラ歌手になるために必要なステップについての話をしましたが、今回はオペラ歌手になるためには何が必要なのか、その資質について話をしたいと思います。いったいプロのオペラ歌手になるにはどのような資質が必要となるのでしょうか?

①声

オペラ歌手にとって最も必要なものはです。これは才能と言っても良いかもしれませんが、やはり持って生まれたものが将来を大きく左右します。

日本にいるときはあまり感じたことがなかったのですが、ドイツに来て大学に入ってからその“声“の存在というのをより強く意識させられるようになりました。信じられないような話ですが、世の中には本当にすごい“声”というのがあるのです。

まだ歌を勉強し始めて1年も経たないような、20歳ぐらいの若い学生が、すでに大歌劇場のソリストのような声で歌っている、という事が現実にあるんですよね。これぞまさしく才能だと思います。

僕も当時は東欧出身の学生があまりにもすごい声で歌う様子に随分圧倒されたものです・・。

とは言え、そういうものすごい“声”がなければオペラ歌手になれないと言っているわけではありませんので心配しないでください。

多くの歌手は長い時間をかけて自分の本当の声を見つけ、そして育てていきます。自分の声に可能性があるとあなたが感じることができれば、それはチャレンジしてみるには十分な価値があると言えると思いますよ。

②テクニック

あなたが自分の声に可能性を感じることができたなら、次に必要となるのがその声を扱うテクニックです。

これまで数多くの歌手が実に様々なテクニックで歌ってきましたが、良いテクニックと言うものは必ず存在します。逆に言えば悪いテクニックもかなりの割合で存在しています。

良いテクニックで歌う事ができれば自分の声を育ててくれますし、長い間歌う事が出来ます。逆に悪いテクニックで歌えば長い間歌う事が出来なくなります。

世の中には本当に素晴らしい声を持っている天才が沢山いますが、その人たちがすべて良いテクニックを持っているかというと決してそうではないです。むしろ声に頼って何でも歌えてしまえるために、テクニックをおろそかにしてしまう事が多いです。これは本当に残念ですね。

なので良いオペラ歌手になりたければ良いテクニックを身に着ける必要があります。

何が良いテクニックなのか、という話はまた別な機会にするつもりです。

③音楽性

テクニックと同じぐらい重要、もしくはさらに重要なのが音楽性になります。なぜなら、レッスンに通って磨き上げたテクニックをどのように使えば良いかを示しているのは音楽だからです。

私たちは、まず最初にこのように歌いたいという気持ちがあって、それから声を出して歌いますよね。(何も考えないで歌っている人の姿なんて想像するだけでも恐ろしい・・・。)

でも「このように歌いたい気持ち!」というのがきちんとした音楽性に裏付けされていることが大事です。

いくら自分が歌いたいという気持ちが強くても、そのイメージが作曲家のイメージしたものとかけ離れていては出来上がる歌も滅茶苦茶になってしまいます。いくら声が良くてテクニックがあってもこれではダメです。

なので高い音楽性を身に着ける事はプロのオペラ歌手になるには必要不可欠です。音楽性を身に着けると、音楽がどのように歌ったらよいのかを教えてくれます。まだ自分がそのように歌えないのであれば、どこを練習すれば良いのかを教えてくれるということにもなります

良い音楽性というのはオペラ歌手に限らず音楽家にとっては最良の道しるべなんですね!

言葉(外国語)

音楽性とともに僕たちを正しい方向に導いてくれるものがもう一つあります。それが言葉です。歌詞の事ですね。オペラ歌手に限らず声楽家としてプロ目指す人にとってはこの言葉(外国語)に対する感性を身につけるのは非常に大切です。

これはあくまで自分の体験ですが、高校生や大学生の頃はイタリア語やドイツ語の意味は全く理解できていませんでした。歌詞は何度も繰り返し練習しますから、それっぽく聞こえるようにはなるのですが、結局のところオウム返しなんです。曲の意味はだいたい分かっているつもりでも、今その瞬間に歌っている言葉の意味が実感として全く感じられない・・・・。でもやっぱりこれでは人に訴えかける表現は決してできるようにはなりません。

今その瞬間に歌っている言葉の意味が実感できて、初めて本当に観客に何かを届けることができるようになります。素晴らしい声だけでは、すぐに飽きられてしまいます。

言葉と音楽は表現において非常に密接に関係しています。言葉を理解することができれば、どのような表現をすれば良いか、私たちを自然と良い方向へと導いてくれるでしょう。

⑤演技力と立ち振る舞い

かつてはオペラ歌手に求められるのもはあくまで歌唱力であり、演技力は二の次でしたが、最近はそんな事も言っていられなくなりました。歌手に求められる演技力は、一昔前と比べてはるかに大きくなっています。

どんなに歌がうまくても、演技ができないと判断されてしまうと、オーディションで落とされてしまうという事がありますので、ある程度の演技力や舞台での立ち振る舞いを身に着けることは今後のオペラ歌手にとっては必須と言えるでしょう。

⑥自分を信じる力

そして最後に必要なものが、自分を信じる力です。私たちオペラ歌手は一度舞台に立ったらある意味一人きりです。

舞台の上では、パートナーが出入りを間違えたり、あるはずの小道具がなかったりと、小さな事故がが沢山起こりますし、歌詞が突然でてこない、なんてこともあります。でも誰も助けてくれる保証はありません(もちろんたまに周りに助けられることもあります)。

一度舞台に立ったから最後まで演じ切るしかないのです。それを成し遂げるためには自分を信じる力が必要になります!

おわりに

今回はオペラ歌手に必要な資質についての話でした。かつてはオペラ歌手に必要なのは、一に声、二に声、三に声だ、と主張する人達もいましたが、そんな話は冗談ですから決して本気にしないでくださいね!。

オペラ歌手になるにはこれらの資質をバランスよく育て上げていく必要があります。

自分に何が得意なのか、または自分には何が足りないのかをしっかり見極め、勉強を続けていくことが大事ですね。


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