みなさん、こんにちは。
オペラや声楽、または合唱をやっていると、普通に生活していても、とにかくどんな食べ物が声に良くて、どんな食べ物が声に良くないかが気になりますね。
食べ物に関してすごく気を遣う歌手もいれば、まったく気にしない歌手もいます。
私も歌う前にアイスクリームを食べるのは良くない、とかメロンを食べるのは良くないとか、いろんな事を言われましたが、こうした事は本当でしょうか?それとも単なる迷信でしょうか?
今回は声と食べ物の話です。
もくじ
声に悪い食べ物ってあるの?
まずは声に悪い食べ物というのは本当にあるのでしょうか?これは基本的にはその人の体質次第ですから、一般論を語るのは中々難しいですね。ある食べ物が声に悪影響を及ぼすと感じる人もいれば、そうでない人もいます。
こうした食べ物はあくまで、個人差である事を抑えた上で、声に悪影響を与えそうな食べ物があるのか見ていきましょう!
粘膜に炎症を与える食べ物
私は普段の生活で声の良し悪しを気にして食事をすることはほとんどありませんが、公演の直前だと少しは気にします。
いちおう経験上、公演の前は粘膜に炎症を与える可能性のある食べ物は取らない事にしています。
唐辛子
喉の粘膜に炎症を与える可能性がある食べ物のトップは、なんといっても唐辛子でしょう。あまりにも辛い物を食べるととにかく口の周りがひりひりしますが、そのような刺激物は喉にも炎症を起こしまう可能性があるので、とにかく歌う前には注意が必要です。
まあさすがに公演前にわざわざ激辛カレーや激辛焼きそばを好んで食べる人はいないかもしれませんが、うどん屋お蕎麦を食べるときにかける七味唐辛子も要注意です!!
ちょっとぐらいなら七味唐辛子を食べても喉の粘膜が炎症するようなことはないでしょう。でも七味唐辛子の怖さはそれではありません。
七味唐辛子の怖さは、振りかけた時、もしくはうどんの汁を飲んだ時などにむせってしまう事です。
うどんの出汁がおいしくて、勢いよく汁を飲んだら、その汁に浮かんでいた七味唐辛子が喉に引っかかってむせってしまう事ってありますよね。
こうなると一瞬声が出なくなってしまいます。まあ1分もすれば元に戻りますが、こうしたむせかえる時に出る咳は、声帯に無駄なダメージを与えてしまう可能性があるのです。
なので私は七味唐辛子を使うのは公演前は控えるようにしています。
度数の強いアルコール飲料
のどの粘膜に炎症を起こす可能性がある物の代表例がアルコールですね。これに関しては以前詳しく話しましたので、ぜひともそちらをご覧いただきたいですが、度数が強いと炎症の度合いも大きくなります。
大歌手カルーソーも自身の著書の中で、公演前の1杯の赤ワインは大丈夫だけれど、ウィスキーは声帯が炎症して高音に影響を与えるから控えるべきと語っています。
アルコールはモラルの問題もありますから、本番前にわざわざ飲もうとする人は少ないでしょう。
ただ本番後に打ち上げと称してアルコールを飲む人は結構いるのではないでしょうか?これには少しばかり注意が必要です。
というのも、公演後の喉というのは多少充血して、疲労も溜まっています。少量であれば問題ありませんが、アルコールを飲んでさらに打ち上げと称して大声を出してしまうと声の疲労に追い打ちをかけてしまう事になります。
そうなると疲労から回復する事が出来ずに、次の日、思ったように歌う事ができない・・・なんて事にもなってしまいますね。
テノール歌手のプラシド・ドミンゴは「プラシド・ドミンゴ、オペラ62役を語る」の中で、声の若さを保つ秘訣は、公演後はアルコールを取らない事だとしています。それによって一晩ぐっすり眠れば声の疲労が次の日には残らないとしていますね。
アルコールの摂取はあくまでその人の体質次第という事になりますが、弱い体質の人は注意が必要ですね!
たばこ
私はタバコを吸わないので、本当に喉に悪いかどうかを経験的に語る事はできないのですが、タバコは喉に良くないと信じています。
タバコに含まれるタールは気管支や気管を刺激して声帯に炎症を引き起こすとされていますから、声に気を遣う人ならば、手を出さない事に越したことはありませんね。
とは言え、オペラ歌手の中にもタバコを好んで吸う歌手は決して少なくありません。やはりストレスが溜まる職業ですから、そのはけ口としてタバコを吸いたくなるようです・・・。
果物などアレルギー性のある食べ物
唐辛子やアルコールなどの刺激物が声に良くないのは分かりやすいですが、実はそれ以外にも影響を及ぼす食べ物があります。
その代表的なのが果物によるアレルギー反応です。
良く聞くのが、“メロンを食べると喉がかゆくなる、いがいがしてくる”というものですね。これはメロンを食べた事によってアレルギー反応を起こしているのが原因だと思われます。
アレルギー反応なので完全に個人差ですが、花粉症の人は果物にアレルギー反応を示しやすいとされていますので、普段あまり気にした事がない人も、実は果物に対してアレルギーだったという事は十分あり得ます!
代表的な果物としてはリンゴや桃、キウイ、メロン、パイナップルなどが挙げられるようですが、花粉症の人はこうした食べ物は公演前に食べるのは控えた方が良いかもしれないですね。
ナッツ類
こちらは声に直接悪い影響を及ぼすというのとは違いますが、気を付けなければならない食べ物としてナッツ(種)類を上げてみました。
ドイツではかぼちゃの種やヒマワリの種がついたパンが良く食べられます。またクルミやピーナッツなどとドライフルーツを混ぜたナッツミックスを腹ごしらえで食べる事も良くあります。
これらの物を食べても特に声になんらかの影響があるとは思えませんが(ナッツ・アレルギーを除く)、歌う前は注意が必要です!。
というのもこれらのナッツ類は歯の間につまりやすいからです。歯の間に詰まったぐらいでは、普段はなにも気にしませんが、実はこれが歌っている間に、どういうわけか気管に入り込んでむせてしまうという事につながってしまうのです・・。
歌っている最中にピーナッツのカスが気管に入ってしまう状況を想像してみてください。むせたら歌えなくなりますからこれは結構リスクがありますよ!
なのでナッツ類を本番前に食べるのを避ける歌手は結構多いです!
もしお腹がすいてキャラメルコーンなどを食べた場合は、しっかりフロスして練習、本番に臨みましょう!!
声に良い食べ物は?
健康な時は特に気にする必要なし!
かりん、大根、蜂蜜など、喉に良いとされる食べ物は沢山ありますね。それらのほとんどは喉が炎症を起こした時にその炎症を沈める効果があるとされています。
ちょっと風邪をひいてしまったり、話しすぎて喉が少し炎症してしまった時にはこのような食べ物を食べる事で炎症が鎮まる可能性はあると思います。
ただ、これはあくまで炎症を起こした場合の話です。ですので普段健康である人が、声の良さをキープするために積極的に摂取すべき食べ物というのは特にないと考えて良いと思います。健康であれば、声帯の粘膜の状態も健康ですからね。
なので、普段は特に食べ物にこだわる必要はないと思います。
乾燥しないように飴をなめたり水分をこまめに摂取すれば大丈夫です。
風邪予防に効果がある食べ物は?
私が声が良くなると思って進んで摂取する食べ物は特にありませんが、ちょっと喉がいがいがした時にはすり下ろした生姜と蜂蜜をお湯に溶かして飲むことがあります。それから殺菌作用があるとされているプロポリスキャンディーや、マヌカ蜂蜜入りのキャンディーなどはだいたい家にありますね。
本当に効果があるかどうかはありませんが、疲れた時などには、マヌカハニー(高ければ高いほど良い)を直接スプーン一杯舐めるようにしています。まあどちらかと言えば気休めでしょうかね・・。
実際に風邪をひいてしまった時の対処方はこちらの記事で紹介しましたので、ぜひご覧ください、
おわりに
今回は声と食べ物の関係についての話をしてみました。
ナッツ類や唐辛子はむせる危険性がありますから、公演前は気を付けるようにしたほうが良いですし、普段から辛い物やアルコールが大好きな人は、喉が疲れた後で追いうちをかけないように注意しましょう!
それ以外は、あまり神経質にならない事も大事ですね。おいしい物を適切な量食べて、心も体も健康であることを心がける事が良い声がでる一番の薬です。